第44号

 昔、ホピは賢く生きるために、長老たちから知恵と知識と予言を学んだ。しかし最近の変わりようはどうだ。誰も聞かず、見ず、理解もしなくなった。これらの教えこそが幸福と健康へのカギとなるのに。

普遍の法則(Universal Laws:宇宙のすべてのものに通じる法則)

 前号で自給自足の掟について話した。もうひとつ崇高な普遍の(全てのものに通じる)スピリチュアルな掟がある。この掟の根本は誘惑(Temptations)だ。
 私たちの生活に害悪をもたらす、何ものにも誘惑されてはならない。トラブルに巻き込んだり、問題を引き起こしたりすようなものに誘惑されてはならない。そうすれば、平和と幸福が保たれるのだ。私たちは、誘惑は悪だと教えられた。しかし欲求のための衝動は強く、制御しがたい。私たちホピが外国の考えに染まってしまうと、誘惑は私たちの力を弱めることになる。

 予言にあるように、新しい物が次々と入ってくるだろう。多くの新しい便利な物が手に入るだろう。だから私たちはいつも、悪い物が入り込まないように気をつけなければならない。最も重要なことは、私たちを破滅に導く外の法律に縛られてはならないということだ。予言はこの時が来ると、バハナの道かホピの道かを、選ばねばならなくなるだろうという。

 もし私たちがグレイト・スピリットがこの世に住むことを許してくれた時の約束と、スピリチュアルな掟を忘れてしまうと、それはグレイト・スピリットを忘れてしまった兆候となる。
 だから今でもホテヴィラ村はスピリチュアルな掟を固く守り続け、外の文化を受け入れないように、非常に慎重になっているのだ。
 これがホテヴィラ村が他の村とは違うところだ。もし一度でもバハナの制度の誘惑に傾きかけたならば、それはホピの地の、真のホピの村の終わりだ。

 先祖たちの教えによれば、誘惑の法則はとても危険なものだという。なぜならそれは破壊につながるからだ。彼らが前の世界を通り過ぎてきて学んだ経験から、これまでの世界はすべて誘惑のせいで破壊されたというのだ。
 私たちは誘惑こそが、現代の世界に問題と不安をもたらしたものだと信じている。

 ふたつの普遍の法則について考えてみよう。自給自足と、誘惑の法則だ。

 教えでは、グレイト・スピリット、マーサウは2人いたという。ひとりは貧しく、もうひとりは裕福だ。
 貧しいマーサウは、簡素で慎ましい生き方をしていた。彼は良い道を選び、良い生き方を教えた。彼は生きてゆくために、一本の植付け棒と種のみを持っていた。彼は大地の守り人だったのだ。
 私たちが自らの堕落のせいで、ひとつ前の世界を破壊してしまった時、彼は私たちが彼と共にこの地に生き、大地から必要なものを得て、害悪から大地を守ることを許してくれた。私たちは彼の掟に従うことを約束した。
 私たちは彼にリーダーになってもらうようお願いしたが、彼はそれを拒み、私たちが心に大きな二面性を持っているので、私たちがこの先の旅で良い道に進むのか、悪い道に進むのかを見てからでないと、リーダーにはなれないと言った。なぜなら彼こそが最初の者で、いずれ最後の者となるだからだ。

 裕福なマーサウは何も気にせずに悪の道を歩んでいた。彼は悪賢く、邪悪だった。彼は人々を思い通りに彼の方に引き寄せられると言いふらしていた。彼は破壊ばかりして、愛ではなく、憎しみだけを教えた。私たちは常に彼の悪意に注意しなければならなかった。

 私たちはこの知恵と知識の意味するところが、バハナ流に言うと、ひとりは精神文明を表し、ひとりが物質文明を表すということだと思う。おそらくこれに賛同してくれる人は、ほとんどいないだろうが…。
 この時代で悲しいことは、ホピだけではなく、世界中の人々が、貧しいマーサウの教えと、より良く生きるための掟から目を背けていることだ。あるいは彼らは裕福なマーサウについてゆき、最期の日を迎える道を選ぼうとしているのだろう。
 しかし私たちは希望を失っていない。ひとりか、ふたりでも貧しいグレイト・スピリット、マーサウの後ろにしっかりと立っている者がいれば。

変わりゆく時

 世の中を見ていると、多くの物事が起きてはすぐに変わってしまう。人類の行動と態度のせいで、世界中で古い考えは脇へ捨てられ、新しい世代は技術のノウハウと共に、未来に突き進んでいくのだ。
 確かにそれによって、人類に多くの有益なものがもたらされただろう。しかしその一方で、私たちの生活はどうなったか。今や私たちの生活スタイルや食物は、数年前とすっかり変わってしまった。農業がすたれてきて、多くの宗教の儀式も消えた。
 さあ言ってみてほしい、献身のホピの最後の生き残りを守るために、何をすればいいのか。

 心が開いた人なら分かってくれると思うが、これが意味するのは私たちの子供たちが将来楽しむための、いい生き方が終わろうとしているということなのだ。

 心の底から文化と伝統を守ろうとしている人に残されている、賢いやり方とは、私たちの賢い長老たちの教えをしっかりと守り、邪悪なものが入らないように注意することだろう。

 その裏には哲学がある。その哲学に沿ってどちらの生き方が最良なのかよく考えることが、今の時代にはより重要なのだ。
 そう、もし私たちが偉大なる創造主が示した、教えと哲学に敬意を払うならば、それは今でも存在し続けるだろう。しかし悲しいかな、世界のリーダーたちは、この知識を失ってしまったように見える。人々を導くべき道を。

 ご存知のように、現代はさまざまな出来事が起きているが、これらは時の始まりから続いている、生命の営みの一部なのだ。私たちが闘い、争っている危機の種は、人類がずっと持ち続けていたものなのだ。現在世界で起きているさまざまな出来事は、私たち自身の行動によって引き起こされた、生命の営みの表れであり、多くの障害を生むアンバランスを作ったのだ。
 私たちは人口が極度に増加し、文明化されると、すぐにお互いがお荷物になることを知っている。これが不調和と勢力争い、衝突、戦争を生むのだ。

中東戦争

 ペルシャ湾で戦争が始まった時、人々は私たちがそれをどう見て、どう感じているかを尋ねた。私たちの予言と何か関連があるのかと。それに対する答えはこうだ。

「ホピは謙虚で繊細であり、人々を欺くようなホラは吹かないし、また慎み深いことが、良いホピとしての価値を決めるのだが、長老たちの知識や知恵から学んだことや、グレイト・スピリット、マーサウの予言や掟から学んだこと、また真実だとされている現在や過去の問題からは、語ることができる。

 私たちはどんな戦争においても、どちらの側にもつかない。
 平和の民だからだ。
 人間は昔から仲間同士で争ってきた。そしていつも普通の人たちには何の利益も無かった。金持ちだけが利益を取って、より金持ちになった。
 争いはどちらが勝っても、悲劇や破壊を生み出し、多くの普通の人々に災いをもたらすだけだ。得をする機会がなかった者たちは、できるだけ目立って分け前にありつこうとした。」

予言

 これは聖書で言う『アルマゲドン』に関する予言で、まだ現実化していない。予言にはこうある。
 いつか普通の人々が、この病的な世界に住めなくなり、うっぷんが溜まる時が来る。彼らは血生臭い政権と、ごまかしばかりの指導者たちに我慢できなくなる。社会不安は世界中に蔓延し、平和な生活への希望が無くなってしまう。
 そして世界中の「普通の人々」が力を合わせ、世界平和のために戦うのだ。政治家たちが平和な世界を作るのに失敗したと彼らが見て取ると、高い地位にいる者が、おそらくテロによって倒される。そしてリーダーたちはお互いを疑い、倒しあいを始める。この状況が飛び火し、火種は広く遠くまで飛ぶことになるのだ。世界中は無法地帯となり、私たちの大地にも革命が起きるのだ。

 そこから解放してくれる者は、西から強大な軍隊と共にやってくる。彼らは雨のように空から降り注ぐ。彼らに慈悲というものは無い。屋根に登って見ている場合ではない。彼らは私たちを、まるで悪さをした子供のように、耳を掴んで振り回す。

 この闘いは恐らく善と悪の最終決戦となるだろう。この戦いが人々の心を洗い流し、母なる地球から病とひずみを消し去り、再び元に戻してくれるだろう。

 予言者は、平和な新しい世界はホピの土地から始まるだろうと言う。人々はひとりの神とひとりの指導者に従うだろう。私たちはひとつの言葉、ホピ語を使い、地球はまた栄える。

 もしこれが実現しなかったら、偉大なる創造主は大自然が決めたとおりの使命を全うするだろう。それは世界をことごとく破壊するということだ。
そして一組の兄と妹だけが生き残って、新しい生活を始めるという。

 この予言は恐ろしく、本当になるかどうか分からない。おそらくほとんどの人にとって価値の無いものだろう。しかし私たちはそれが本当に現実となるのか、待っていればいずれ分かる。しかし過去を忘れてはならない。古来の教えは、多くの強大な帝国が陥落したことを語っている。かのローマ帝国もそのひとつに過ぎない。

国連

 ここで国連についての、私たちの見方を手短に述べておこう。国連は私たちの大地に建てられたこともあり、私たちホピは敬意を持って、国連が神聖の象徴そのものであると見ている。ここは予言の知識と教えによって、世界のリーダーたちにメッセージを伝える場所だからだ。
 ホピはこの予言を実現するために、数十年にわたってさまざまな手を打ってきた。しかしそれは全くの失敗に終わったので、私たちはジュネーヴの国連にある、人権保護局の助けを借りて、アメリカ合衆国政府の間違った行いに対する訴状を提出した。

 しかし世界のリーダーたちからは、何ら前向きな反応はなかった。ジュネーヴの聴聞会も経験したが、その活動は政治的なものであり、スピリチュアルな掟の根本理念に基づいたものではない。
 物事はどうやら合衆国政府や他の国々のリーダーたちによって、政治的にコントロールされているようだ。だから私たちの訴状はきちんと届いていないか、実りの無いものに終わるだろう。

 私たちは攻撃的、暴力的な活動にだけ最大の注目が集まることを知った。だからホピが独立国であると認めてもらうために助けが必要だった時も、平和的に闘っていたためにどこからも注目されず、同情もされずに、訴えかけは失敗に終わった。

 外から見ていると、国連はペルシャ湾岸戦争に介入したが、彼らは彼ら自身が持つ中立の伝統に従って、平和的に問題解決するはずだった。正しいか間違っているかは別として。

 このように見てくると、世界平和への望みは絶たれたと結論づけざるをえない。しかしまだ私たちの教えの中に、リーダーたちが堕落した時にどうすべきかが、伝えられている。リーダーたちに頼っていられなくなり、彼らへの信頼が消えた時のことが。
 ホピに限らず、他の心正しい人々も、偉大なる創造主の掟に従って、自らの権利のために闘う道を選ぶのだ。決して変わることも、崩れることもない掟に従って。

新たな首長制度

 以下の情報は私たちの村、ホテヴィラのことだ。ご存知のとおり、人々や世界は、上に立つ者が人々に快適な生活をもたらすのに失敗するたびに、何度も変わってきた。悲しいかな、私たちはまたこのような状況に陥ってしまった。若い世代は物質文明のことしか学ぼうとしない。今の生活がより快適な、意味のある生活になることを信じて、古い生き方を捨ててしまうのだ。

 だから新しい支配者が現われて、世界を造り変えようとするだろう。多分それはしぶとい伝統派と、先進派の間の社会的、政治的な状態を少しは良くしてくれるだろう。これは年老いた宗教指導者たちが死に絶えてしまったときに起きるのだ。これはまた州政府の目標でもある。皆がみんな新しい進展によって幸せになるわけではないし、生活にどう影響するかは分からない。

 この新しい支配者はファイア・クラン(火氏族)から出てくる。聖なる石板の守り人だから、ある意味正しい。私たちは長となる者の名前を伏せておこう。彼の気に障らないように。
 私たちに彼の計画は分からない。その計画が正しい方向に導いてくれるのかどうか、誰も知らないだろう。私たちは彼らが聖なる石板に描かれてある通りに、私たちを導いてくれることを祈る。それが彼らの使命だからだ。

 今はあまり深く細かいところまで探らないでおこう。しかしよく考えてほしいこともある。

 彼らが叔父であるユキウマ酋長の亡き後を継いで、村を治める責任があることは真実だ。村の創始者や、その親類が引き継いできたからだ。
 しかし途中で彼は間違いをしでかしたために、50年にわたって村を離れてしまったのだ。彼は村の宗教指導者たちの、生き残りのための戦いに協力せず、ずっと表舞台には出ずに、時には先進派ホピ部族議会や州政府と共同で活動した。そのため彼が正式な酋長として認められていたのだ。
 しかし新しいリーダーはただのコピーだ。それらの事実を知った人々から、彼が信じられないという声も上がるだろう。しかし私たちは彼を信じなければならない。彼が正しくない行いをしない限りは、リーダーとして位置づけておかねばならない。

お知らせ

 私たちは読者の皆さんに、残念ながらこの号が最後であることをお伝えしなければならない。編集者は歳のせいで目や耳が悪くなってきており、辞退して、もう休みたいと言う。それに郵送料や印刷代が増えたことなど、いろいろな理由がある。もう彼は残された時間を畑仕事に使いたいと言う。

 これは私たちが、自分たちの生き方をするのを、あきらめたということではない。生き残った献身のホピたちは、強い意思を持ち、全能の創造主と共に歩む。彼こそが、すべての生命と大地に再び調和をもたらしてくれる、確かな道を示してくれるからだ。私たちがこの地球に生まれてきた目的に向かって、成功することを祈る。

 私たちはすべての読者に、今まで支えてきてくれたことと、長い間関心を持ち続けてくれたことに感謝する。
 そして何といっても、イギリスのオナウェイ・トラスト(Onaway Trust)社に、外の世界に向けて公報を届けてくれたことに感謝したい。
 あなた方すべてが私たちの心に刻まれている。だから私たちのことを忘れないでほしい。
問い合せ先は質問等のために、そのままにしておく。

 ありがとう

 何年にもわたって、ホピは世界の人々に向けて、私たちの生き残りへの闘いや、予言に基づいて人類が向き合う災難のことを伝えてきた。
 これまでのところ、何ら積極的な動きは見えてこない。高い地位にある人々からも反応は無い。彼らは私たちを無視すべきではない。さもなければ、世界中の人々が災難に見舞われるのだ。
 彼らの知性をもって、自分たちの頭で考えてほしい。世界のリーダーたちが計画した生き方が、永遠の平和に向けて、平和な世界秩序を作るものなのかどうか。

 これまで何世紀も戦争や闘争が起きてきた。国同士の争いが、普通の社会にまで及んで、全体が堕落と貪欲にまみれてしまうからだ。現実を見つめてほしい。
 戦争が平和をもたらしたことなど、一度も無いのだ。

 そしてもうひとつ学んだことは、土地争いや国内の衝突は、力の強い者が勝つということだ。どんな者でも、ずるく、大声で、力があって、あるいは財力がある者が、これは俺のものだと言えばそれで争いが終わってしまう。
 私たちは私たちの訴えの上に居座り続け、挑戦者をはねのける。しかし誰が「やめろ」と言おうと、いちばん力のある者が、大抵最後には自分の思い通りにするのだろう。

( 翻訳: 永 峰 秀 司 All rights reserved. )


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The shield symbol with its four circles in four quadrants means:
"Together with all nations we protect both land and life,
 and hold the world in balance."

4分円の中に4つの円のシンボルの意味

「私たちは全ての国の人々と共に大地と生命を守り、世界のバランスを保つ」