第3号

収穫のこと

 幸福と歓びの季節がやってきた。食べ物もふんだんにある。しかし男たち女たち、また両親の手伝いができるようになった子供たちにも、きつい仕事がある。また、男の子には叔父さんの手伝いもある。叔父さんは、大きくなった時に大人になる手助けをしてくれるのだ。女の子は、結婚の時に手助けしてくれる、同じ部族の親戚やおばさんの手伝いをする。

 まずは桃だ。割って、屋根や岩の上で乾かす。雨に備えて見張るための岩屋を作る者もいる。男はマスクメロンやスイカを背負い、あるいはロバに乗せて運ぶ(この頃では車も使うが)。豆は摘んでから、サヤを取り除き、きれいにする。

 ナヴァホ(族)はマトン(羊肉)を持って物々交換にやって来る。マトンや、生きたヒツジを手に入れるために、ホピがあちらに行くこともある。メロン3,4個でヒツジ1頭だ。また行く先々の家で、新鮮なマトン・ローストをサービスしてくれる。この時期はみんな収穫を分かち合って幸せ気分だ。
 トウモロコシの収穫が始まると、終わるまではたくさんの人が畑で寝泊まりする。トウモロコシはロバや車に乗せ、長い道のりを運ぶ。中には背負う者もいる。
 すべての収穫が終わると、家や庭は、言葉に表せないほど色鮮やかに、美しくなる。ローストコーン、マスクメロン、豆、あるいは冬用にナヴァホから仕入れたミートジャーキーなどを干すために、壁一面が覆われるからだ。
 これはほんの数年前、みんなの心がひとつだった頃の話なのだ。

「それは過去、今は今。なぜ過ぎたことの話をするのか」
と若者は嫌がる。確かに昔のことだ。しかし私たちは人間なのだ。過去のさまざまなこと、悪いこと、美しいことを思い出すものだ。私たちも、もし過ちを犯していなければ、美しい景色の中を歩いていたのに。

 しかしまだ遅くはないのかも知れない。偉大なる創造主の掟にできるだけ従うようにすれば、美しい自然、幸福がまた新しく再生するかも知れない。
 収穫の時節はとても神聖な時だ。食べ物だけではなく、翌年への祝福の時でもある。私たちは精神面においても収穫するのだ。翌年どうすればいいか、創造主だけが知っている。今日の収穫が地上のすべての人々の健康と幸せのためたらんことを!

ホテヴィラの地が脅威に

 過去に私たちが何らかの優遇を受けると、必ずねたむ者が出てきた。自らの意志で進んで与えてくれるものは問題ないが、過去の償いなどとして与えられるものは、後々面倒になることがあるので、注意せねばならない。

 だから、ホテヴィラに住居の建築計画があがった時も、私たちは反対した。仕掛け人はBIA(インディアン局)とホピ部族議会以外に考えられないからだ。ファースト・メサ(mesa:高台にある村)で同じようなプロジェクトが完成したが、セカンド・メサでは途中でストップしているし、サード・メサではホテヴィラを含み、事業を進めるために調査をしているところだ。家の区画は、隣に新しくできるバカビ村に便利なようにしてあり、すべてBIA(インディアン局)と部族議会が絡んでいる。

 私たちは、私たちの土地に建設しようとしている住居の計画に反対する。
 バカビ村に利便を図った計画は2つとも失敗している。計画がみんなの同意を得ていないことが問題なのだ。オライビが堕落して1906年に分裂してしまうまで(この事件でホテヴィラ村ができた)私たちは、白人が来るよりずっと前にベア・クラン(熊氏族)とファイア・クラン(火氏族)との間に交わされた聖なる約束によって、この土地を守ってきた。これは神聖なる使命なのだ。この使命は両氏族が持つ石板に書かれてあり、もしどちらかの氏族が外部からの侵入者によって衰えた時は、強い方が力と土地を受け継ぐというものだ。そこで、ユキウマがオライビを追い出された時、地面に線を引き(今でも見ることができる)宣言した。「お前に感謝する。さあこの地点からはすべての土地は私たちのものだ。」
 そしてホテヴィラに移り、新しく村を作り、創造主の教えに従って使命を果たしたのだ。

 バカビ村は2,3年後、サンド・クラン(砂氏族)のカウォヌプテワ(Kawonuptewa)の指揮のもと、オライビに戻って新しいリーダーに従う約束をした者たちによって作られた。彼らはオライビ酋長タワカプテワ(Tawaquaptewa)に冷遇され、出て行かなくてはならなかった者たちだ。こうしてバカビ村はできた。

 カウォヌプテワは亡くなる前に自分の非を認める証言をしている。彼は土地など持っていなかったのだ。
「生きるためにはバハナ流にせざるを得なかった。身内に食べさせるためには、ホテヴィラから力ずくで土地の一部を奪わねばならなかった。そのため人を虐待までしてしまった。私の死後、その報いで我が一族が傷つくことになろう。
 大きな間違いだった。私に最後までついてくると誓ってくれた者たちをだましてしまった。彼らとの約束さえ守れなかった。しかし私はホピの教えに目覚めた。私は自分が建てさせた村の教会をも訪れたことがない。
 もう一度言うが、私が悪かった。我が一族のために何も残せなかった。それにホテヴィラの学校も、ユキウマの名を騙って許可したものだ。」

 このような背景がある以上、私たちはここに住居の建設を許すことはできない。バカビ村の者たちは今、バハナの便利な生活を楽しんでいる。彼らが私たちの土地にはみ出してさえこなければ、トラブルは起こらないのだが。

古来の話が、今現実に

 長老の記憶、経験の中には、昔のものであっても視点や感覚が今に通用し、現在のすべてのホピに関係するものがある。そこにはバハナたちがやって来て、ホピや他の部族を支配しようとしたことが常に影を落としている。
 彼曰く「若い頃のことを思い出す。まだホピがひとつにまとまっていて、オライビに住んでいた頃だ。
 儀式は、昔から決められた氏族酋長が、決められた手順に従って、きちんと行っていた。すると、まるで魔法のように雨が降り、動物たちのために、山のような新鮮なトウモロコシや穀物がとれ、大地は緑に染まった。
 このすばらしい生活がずっと続くと思っていた。」

「長老たちは昔話や予言を語り継いできた。若い頃は、まだ起こりもしていない話になんか興味がなく、つまらないと思ったものだ。しかし年を取って、世の中がその話のとおりになってきたのを見ると、残念で仕方ない。私の話を、二度と戻れない昔の夢物語や、実現もしない予言だといって非難する人もいるだろう。しかしたくさんの予言が実現しており、今も進行中なのだ。

 時空の様相は、人と自然の行いによって変わってくるが、私たちが今どの段階にいるのかを確かめるカギはある。
 そのカギを持つ予言のひとつは、ある日私たちの土地が開発のために取り上げられる、というものだが、ちょうど今住宅の計画が始まろうとしているのがそれだ。それを喜んでいる人もいるだろうが、見識ある者にとっては、単にバハナが私たちの土地を奪おうとしているにすぎない。創造主の掟に従うならば、私たちの生活を破壊し、消滅させようとする力に屈してはならないのだ。
 今私たちは『救いの白い兄弟』を待っているが、もし彼らが来た時に私たちが聖なる掟と教えを守っていなかったら、それは私たちに創造主の使命をやり通す力がなかったことの証拠となり、無慈悲にムチ打たれるか、自然が私たちを滅ぼすことになるだろう。」

「いつかある日、見知らぬ者たちが私たちの中に現れ、人々を自分の思い通りにするだろう。言葉や知識を与え、支配し、道具にしようとする。彼が作り変えた者たちは彼の手足となり、よく働くことだろう。」

「しかし、もし私たちがしっかりと自分を貫いておれば、作り変えられることなく、根無しの彼らこそ衰えるだろう。だから私たちには、自分を守る強さが必要だ。」

「時がたち、人々は私欲のために権力を得ようとするが、それは無駄な努力だ。なぜなら、創造主は大地からの恵みをすべての生命に平等に与えるようにしているからだ。」

「それぞれの人種は指導者が間違った道を選ぶと、間違った方向へ行ってしまう。ホピは正しい指導者のもと、正しい道を歩むが、あるいは聖なる使命を捨て、儀式を商売や悪い方向に使うかもしれない。最も大切な儀式は、私たちが自分の道を再び見つけ、それに正しく従わない限り行うべきではない。」

「キクモングウィ(Kikmongwi:酋長)がいなくても宗教指導者さえいれば生活様式は保たれるが、いつも問われるのは、もし彼らもすべて死んでしまったらどうなるのか、ということだ。」

「そうなったら、創造主の偉大なる掟に従い、破滅の恐怖にうち勝ち、グレイト・スピリットのために喜んで死ねる、強い不動の心を持った者の背にすべてがかかってくる。自分のためではなく、すべての人々、大地と生命のために立ち上がる者に。
 破壊者たちは、私たちに指導者がいないことを指摘し、降伏させようとするが、私たちは屈服してはならない。」

「私はバハナが介入して私たちが分裂してしまう前に、オライビでよく開かれていた指導者たちの集会を見ることができて幸運だった。教えや予言を再確認できたからだ。
 その頃は、いつも話題は共通だった。ベア・クラン、ファイア・クラン、スパイダー・クラン(Spider Clan:クモ氏族)が上座を占め、兄弟の印のパイプが回された。まずベア・クラン酋長の話がファイア・クラン酋長によって確かめられ、スパイダー・クランが間違いを直した。話は夜まで続いたが、当時の私は若くて勉強不足だったせいか、なぜいつも同じ話の繰り返しなのか、理解できなかった。年を取るにつれ、その目的が判ってきたのだ。その通りにやればこれまでの生活様式は守られるのだ。いつか私たちの生活が変わり、物量で勝る相手に屈したとしても、偉大なる掟に従う者は最後まで抵抗するのだ。」

「彼らもいずれは死に、悪人ははびこって自滅の道を選ぶだろうし、善人はこの世が始まった時から続く正しい道を進むだろう。」

「ベア・クランとファイア・クランには石板を守る資格があるのだが、もし守れなくなった時は、次席の者へ、またその者もいなくなった時には、誰か正しい道を歩む者に委ねることを誓い合った。」

「私は、時が始まって以来今まで、力と権限を持つ者たちによって受け継がれてきた、この教えを再びよみがえらせなければならないと思い至った。今、私たちは過去を振り返り、滅びてきた兄弟たちのことを知ることができる。多くの場合、私たちは氏族の継承権をかけて権力争いする。しかしひとたび過ちを犯せば、すべては無駄になるのだ。」

「私はこの偉大なる掟以上の教えが語られたのを聞いたことがない。この掟を忘れたり、変えたりするのは、人類にとって大きな損失だ。」

「私はホテヴィラの人々の原点である、オライビでの教えを話してきた。私たちはいくつかのメサの上に、独立自治の多くの村を持っている。それぞれが、世の終わりが近づいた時に自らを守る方法を持っているはずだ。」

「これまで多くの予言が次々に現実化してきたことが判っている。
 『女が男の服を着て、スカートは膝上になり、聖なる体の価値を下げてしまうだろう』という一節は、多くのものが元々持っている価値を下げてしまうことを示している。  
 私たちの魂が平静を失うと、異変が起こる。この様子を見たホピはこう言う。何かが始まった、と。」
「私たちは性格も行いも変わってしまった。昔持っていたものはなくなり、祝福し、感謝し、分かち合うことを忘れ、競争に勝つことしか頭にない。弱い者をいじめようとし、この村の中にさえ、バハナの法律を持ち込み、正しいリーダーに従わず、自分勝手なことばかりしている者がいる。武器を持つ者が雇われ、儀式のダンスや歌は霊性を失いかけている。他にも挙げだしたらキリがない。」

「これ以上見る必要はない。大地は乾き、少しくらい雨が降っても草木は育たなくなった。何かがおかしいのだ。私たち自身を見つめ直そう。まだ時間はあるはずだ。非があれば正そう。」

 例えばいつも儀式のダンスに参加しているまじめな若者に尋ねると、彼は答えるだろう。
−なぜお前は歌い、踊るのか。−
「俺はホピだからさ。ダンスは楽しいから。」
−歌や踊りの動きに意味があるのを知っているか。見えない力と意識を合体させ、雨を降らせ、草木を育て、豊作にすることを。−
 彼は笑いながら
「ああ、もちろん。でも作物を植えようにも畑がない。俺は女たちを楽しませるために踊っているんだ。」
−そんな理由なのか。−
「ああ。それに優しく扱ってやると『お湿り』があるしな。」

親切なもてなしこそが、ホピの伝統

 先進派の新聞『カトクティ』は、ホピの文化継承を妨害する外部圧力に反対する伝統派に友好的なバハナ(白人)たちを批判した。彼らはいわゆるホピ部族議会が契約したホピ村への電力設備の建設許可は、伝統派の権威をおびやかすものであることを、アリゾナ公共サービスに警告したが、10月2日付け誌上で、これこそが権威に干渉するものだとほのめかした。

 私たち伝統派から見れば『カトクティ』は新しい組織の腰巾着で、その組織に対して批判的な者を叩くために存在する。
 私たちはバハナでありながら友となってくれた者たちの苦労を無にしない。もう一度繰り返すが、予言には「私たちが破滅への最終段階に入った時、パイユーテ族やナヴァホ族、あるいは心ある白人までが私たちに救いの手を差し延べるだろう」とある。だから私たちは誰も拒まない。貧乏人であろうが、金持ちであろうが。私たちに水しか残っていない時でも、私たちは彼らに水を差し出す。こうすれば、いつかグレイト・スピリットが私たちの求めるものを与えて下さるのだ。これが最大の力の源となるのだが、ほとんどの者がそれを忘れている。(『カトクティ』はこの事実を歪めているだろう)

 これは易しいことではないが、「もしあなたの家が美しく輝き、豪華な食べ物であふれていても、家族に分かち合う優しさがなければ、ただの箱だ」とよく言われるように、貧しくとも、分かち合う心があれば、美しいのだ。

明るみになったライリー・サンライズ(Riley Sunrise)事件

 『カトクティ』が、1960年代初めに起きたCORE(人種平等会議)絡みの事件を思い起こさせてくれたことに、感謝しよう。ハリー・チャカ(Harry Chaca)が鉄道用スパイクで刺され、その背後に政府高官が関係していたとされる事件だ。
 振り返ってみよう。ガイ・コッチャプテワ(Guy Kotschaptewa)は80歳になるリーダーで、政府高官に楯ついたとの理由で取り押さえられたが、彼は政府高官が出てゆくように平和的に導こうとし、政府高官もそれに従ったにもかかわらず、警官に飛びかかられたのだ。ルイス・ナハは彼を助けようと走り寄ったため、警官にひどく打ちのめされた。
 そこで問題のライリー・サンライズという男が応戦したが、捕らえられ、抵抗むなしく力尽きて打たれ、2人とも投獄されてしまった。コッチャプテワ老人は、触れてはならない政府高官に触れたという理由で告訴されたのだ。

 ナハ氏とコッチャプテワ氏の告訴は後に取り下げられたが、ライリー・サンライズ氏は殺傷力のある武器を使ったことで告訴され、フェニックスの連邦裁判所に送致された。
 鉄道用スパイクは、問題を大きくしようとする策略に利用されてしまった。伝統派ホピはただ、彼らの合意無しに彼らの土地が油田開発のために貸し出されることに、反対しようとしただけなのだ。そしてその問題は政府高官との会合の理由でもあったのだ。

 友好的な白人たちは、石油会社が部族議会のモルモン教徒弁護士ジョン・ボイデン(John Boyden)を通じてホピに干渉し、圧力をかけることに反対していた。
 政府高官の裁判はフェニックスで行われたが、石油会社を代表し、同時に反対する立場の部族議会をも代表するという矛盾だらけのボイデンには、倫理などありはしない。

 裁判で起きたことを思い出すと、漫画のような場面もあった。被告人の証人は、長い髪とビーズを身に付けた教育を受けていないホピで、通訳をつけることもできたのに、つたない英語だったが自分で何とか裁判官や陪審員に証言することができた。
 一方原告側の証人は、短い髪で白いシャツにネクタイ姿の、教育を受けたホピだったが、英語を喋るのを恥ずかしがり過ぎたのか、証言するために、時に伝統派の通訳の力を借りなければならなかった。
 しかし最後には私たちが勝った。
 なぜなら私たちは真実を述べたからだ。

 ではこの事件の背後には一体何があったのだろう。なぜ警察署長ティプリング(Tipling)と部族議会裁判官セカカプテワは、たった2人のホピを守るために武装した保安官を雇わねばならなかったのか。後になって聞いたことだが、彼らは過激派のホピやCORE(人種平等会議)に襲われることを恐れたようだ。しかしCOREは非暴力組織で、教育を受けていない伝統派に公平な情報を提供するために協力していただけなのだ。

 いずれ誰かが明るみに出すだろうが、ホピに対して起きた事件はまだまだある。例えば、政府役人がホピの女性と女の子を裸にしてヒツジの糞の中に投げ入れたこと。合衆国政府が、独立国であるホピ国に畜産の規制を押し付けようとした時、多くのホピが家畜を去勢することを拒んだために、投獄されたことなどだ。もし私たちの言うこれらの事件を疑うならば、調べてみるといい。記録がどこかに残っているはずだ。

議長、伝統派に反対する

 リーダーたちの願いを無視した文明の利器の持ち込みから、ホテヴィラを守るために最近訪れるようになった白人たちの力添えに対し、あるいは村が設立された本来の理由のために、アボット・セカカプテワ(「ホピ部族議会と称するもの」の議長)は次のような声明を出したが、私たちとしては正しておきたいことがある。(『カトクティ』'75年10月2日)

「伝統派は自分たちの生き方をしたい、白人の生活はしたくないと言っている。しかしそう言いながらも、白人がいちばん真似てほしくないことを真似ている。掲示板やメディアに白人の文字を使って訴え、政治的な活動をしているではないか。村の大多数の支持も無いままに。
どんなことであれ、白人の生活を全く取り入れていないホピなど一人もいない。そのような訴えを投げかけること自体が無意味なのだ。誰も聞きはしない。」

 議長はどうやら自分が兄弟姉妹と共にホテヴィラに生まれたことをお忘れのようだ。彼はまた、私たちの生き方を守るためにこの村を創った創始者のひとりと、血がつながっていることさえ忘れてしまったようだ。
村の創始者たちが大きな悲しみを分かち合い、大きな痛みを分かち合ってきたことや、政府の申し入れを断ったというそれだけの理由で、大地の片隅に追いやられてしまったことを。

 政府は私たちを屈服させることに失敗すると、次の手を打った。 私たちを「貨幣制度」に巻き込み、お金が無いことには食べ物も衣服も道具も手に入れることができないようにしたのだ。
しかし、そんなことで私たちの居場所がなくなってしまうことはないと分かっていた。私たちも一生懸命働いて、お金を稼ぐことができるし、またお金が私たちを支配する道具にならないことも。そしてまた「貨幣制度」が私たち自身の中で私たちの文化を破壊してしまう武器になりうることも分かっていた。

 議長は声明文を作る時に、私たちがすでに餌に食いついたと子供たちに思わせる心理トリックを使った。彼は私たちに、もじもじするのをやめて舌なめずりしてほしいのだ。しかし私たちは彼の口車に乗ってはいけない。彼の言うことには何の根拠も無いからだ。

 もし私たちが白人の物を使うことを彼がとがめるならば、私たちがグレイト・スピリットの教えに従った独立自治の道をとる権利を主張している間に、なぜ私たちが白人の物を使うことを禁じる法律を作らないのだ。

 もちろん彼は白人政府の下で暮らしたい人々を他へ移すことで、私たちとの妥協点を見つけることができるだろう。おそらくホピ工業団地はそれに都合良い場所だ。下らない下着工場があるから。そこで彼らは便利な都会生活を送り、私たちの方は外部からの邪魔が入らない自由の身で、トウモロコシと豆を作り、幸せに暮らすのだ。

2つの法律

 私たちは白人の友がこちらに来る時は、ホピの「法と規律」に留意するよう呼びかけている。長髪、ひげ、ビーズなどで、ヒッピー風にしている者は、何人も入村できない。短い髪の者であっても、伝統派とあまり長く一緒に居ると追い出されてしまう。内部事情が知られると、足元をひっくり返される恐れがある先進派にとって、友好的な部外者は危険分子なのだ。

 これまでにいくつか、伝統に全く反する法案が通ったことがあった。この「反ヒッピー法」がその最たるものだ。それが今でも生きているのだ。政府の手先である部族議会がいかに多方面でホピの精神を汚しているかがわかるいい例だ。
 当時のいきさつはこうだ。ホピ部族議会は、ヒッピーとして知られるカリフォルニアのグループがホピ居留地を訪れるという情報を得ると、下記のような決議をし、ヒッピーが居留地に入ることを許さないとした。

一、このグループはホピ文化とは相容れない過激な考えを実践している。

一、よってこのグループ『ヒッピー』は私たちにとって好ましくないものであり、居留地への立入りは許されない。

一、また必要と認められるならば、『ヒッピー』を排除するために、どのような手段をとることも監督官の裁量にまかせる。

証明:この決議は1967年6月1日、ホピ部族議会により、充分な検討の結果、賛成9、反対0、議長無投票、により決定された。
決議番号H-9-67
(サイン)ローガン・クーピー(Logan Koopee)、ホピ部族議会

 ホテヴィラのカチョンバ酋長は、これを受け意見を提出した。
「その態度は間違っている。力ずくで人を排除することは、ホピとして間違っている。よって私はここに決議番号H-9-67に反対する。そもそも、その決定は私たちの知らない間に下されたものである。」

「役人たちには、ホテヴィラ村がなぜ政府の計画を拒否するのか、これまで何年も、何回も説明してきた。ここホテヴィラは、元はと言えば伝統の生活を送るためにできたものであるし、これからもそうする。お前たちの法律は、この村では無効だ。」

 彼はこうも言った。「お前たちは地上で最も高貴なグレイト・スピリットの掟を汚している。グレイト・スピリットと人とのつながり、その調和によって私たち人類は生き延びてきたのだ。私の村にはお前たちの非人間的な法律は不要だ。良い心を持つ者は受け容れる。警察権力を使うのは止めよ。私たちのやり方は何世紀も続いてきたのだ。私はグレイト・スピリットの尊厳を守る。そう誓ったのだから。」

青い眼のホピからのメッセージ

 伝統派による『テックヮ・イカチ』制作を手助けする友のひとりとして、先進派新聞『カトクティ』によって流されるこの公報への誤った噂を、正さなければならない。
 『テックヮ・イカチ』は、長老たちと相談のうえで、ホテヴィラの伝統派ホピによって始められたもので、物語を語る人選についてはデビッド・モノンギェが推薦し、彼自身も第1号で意見を述べている。

 彼は第1号が出来上がった時に村を出ていたため、当然のことながら、出版された現物は手にしていなかった。ところがなぜかその現物が、『テックヮ・イカチ』のスタッフより先に、『カトクティ』のスタッフの手に渡っていたのだ。『カトクティ』の白人レポーターが『テックヮ・イカチ』のスタッフにそれを見せた時、当然彼はそれを見たことがないし、デビッドにしても、ほとんど目が見えないこともあって、それを見たことがなかった。これに『カトクティ』が飛びついたのも無理はない。この公報が外部の者によって創られたものだと、けなすチャンスだったからだ。

 しかし、これは少し性急すぎた。すぐに『テックヮ・イカチ』のスタッフが、この公報はすべて伝統派のホピによって書かれたものであることを証明した。『カトクティ』側は、この公報の文章が上手すぎて、ホピによって書かれたものではないと思ったようだが、これは裏方に文章を手直しする協力者がいるからだ。
 指摘とは逆に、私たち協力者たちは個人的見解は一切述べていない。あくまでも文章中の文法の誤りなどを修正しているだけだ。私たちはどの派閥も支持しない。グレイト・スピリットの教えだけを支持する。

 グレイト・スピリットの教えに従う者たちは、投獄され、口を封じられ、あざけられてきた。理由は明らかだ。ホピを利用して金儲けをしようとする者たちにとって、真実を語る者は敵だからだ。彼らはホピたちの目を真のリーダーからそらし、外部からさまざまな手を使ってリーダーたちを黙らせ、分離させようとしているのだ。
 グレイト・スピリットに従う者たちをよしとしない人々へ、尊敬されるリーダー、ダン・カチョンバの言葉を贈ろう。

『その時が訪れた時、ホピはたったひとりか、ふたりか、3人しか残っていないかも知れない。もし彼が伝統に反対する人々の圧力に耐えたならば、世界は破滅の危機から救われるだろう。私はグレイト・スピリットが定めた道に人々を導いて行かねばならない。
 私は誰もさげすんだりしない。グレイト・スピリットの道を信じ、忠実に従う者は誰でも自由に私たちと同じ道を歩むことができるのだ。』

(サイン:ある「青い眼のホピ」)

 

( 翻訳: 永 峰 秀 司 All rights reserved. )


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The shield symbol with its four circles in four quadrants means:
"Together with all nations we protect both land and life,
 and hold the world in balance."

4分円の中に4つの円のシンボルの意味

「私たちは全ての国の人々と共に大地と生命を守り、世界のバランスを保つ」